最近のオートバイって結構良いお値段しますよね。
タイヤが二つしかついていないくせに、下手な軽自動車よりも
高かったりします。苦労して手に入れたオートバイ、乗り方や
メンテナンス次第で寿命は大きく違ってきます。
この読み物は、オートバイ初心者のために難しい話し無しで
メンテナンスに役立つ情報を提供するものです。
以下の注意を必ず守って、あなたのオートバイライフに
お役立て下さい。

内容においては無保証です。実行した結果、オートバイが壊れたり、
整備不良で捕まったり、はたまた乗っていたあなたが死んでしまったりしても
私は一切責任を負いません。不安な個所においては、専門家に相談して
しっかり整備を受けてください。

・はじめに

最近のオートバイは、なかなか高性能です。
なかなか壊れない代わりに、一度トラブルを起こすと原因の特定や
修理に大変な労力とお金が掛かります。
折角ニコニコで手に入れたオートバイ、少しでも長く安全に乗ってもらえるように
色々お勉強しましょう。なるべく専門用語を使わずに書くつもりですが、もしも
分からない用語等が有りましたらBBSの方で質問をお受けします。
また、これらの情報は全てトラブル無く走行可能なオートバイのお手入れについて
書かれたものです。トラブルシューティングについては、また別の機会に書こうと
思います。
オートバイという乗り物は、安全に走り曲がり止るために、数多くの部品から
構成されています。例え小さなビス一本でさえ無駄な物など付いていません。
必要があって自分で分解する場合には、面倒でも手順やデータをメモに残して
おきましょう。出来れば自分のオートバイ専用に、メンテナンスノートを
作っておくと良いかもしれません。燃費の推移やバイクショップに修理を依頼した
際の記録も取っておくと後々役に立ちます。


・準備するもの・持っていたほうが良いもの



まずは必要な物を揃えましょう。
よく車戴工具で整備されてる方を見かけますが、これはお勧めできません。
大切なオートバイのボルト類を傷めるだけでなく、大きな力が掛かっている
時に道具が外れたりすると怪我をすることもあるんです。
上の写真は私が普段仕事で使っている工具の中から使用繁度高いもの、
最低限持っていた方が良いものを並べてみました。
  • 片目片口スパナ
8mm 10mm 12mm 14mm 17mm 19mmの6種類程有ればいいでしょう。
  • ドライバー
+・−それぞれNo,2No,3(頭の大きさ)を揃えれば大抵の作業出来ます。
  • 自在スパナ(通称もんきー)
いろいろなサイズに対応出来るスパナです。
これでナットを締めたり緩めたりしてはいけません、ナメてしまいます。
あくまでも回り止めや押さえに使ってください。
曲がったペダルやレバーの修正にも使えて便利です。

  • 挟みもの
ニッパーやラジオペンチ、プライヤーは最低揃えておきましょう。
写真には有りませんが、ウォーターポンププライヤーなどもあれば
便利です。
  • ハンマー
写真にあるのは片方が普通のハンマーで、もう片方がプラスチックハンマー
になっています。アクスルシャフトを抜き差しする場合等、対象物に
キズをつけたくない場合にプラスチックハンマーは大活躍します。
  • あなたのオートバイに合った大きさのメガネレンチ
チェーン調整などで、アクスルシャフトを緩めたり締めたりする場合に
ちょっと大きめなメガネレンチが必要になります。
22mm,24mm,27mm等何種類かの大きさが有りますが、自分のオートバイに
合ったものを揃えておきましょう。
  • プラグレンチ
これは車載の物でOKでしょう・・・って言うか車載のものであれば
確実にプラグを脱着することが出来ます。
  • ブレーキの点検
オートバイのエンジンが掛からなくて怪我をする事はあまり無いのですが、
ブレーキが利かないオートバイはめちゃくちゃ危険です。
ブレーキパッドの交換やシール類の交換についての説明は別の機会に譲るとして、
普段から簡単に出来る点検についてお話しましょうね。

現在販売されているオートバイのブレーキは、大きく分けて2種類有ります。
円盤のようなブレーキディスクをパッドで挟んで制動する”ディスク式”と
ブレーキライニング(ブレーキシュー)をドラムの内周面に押し付ける”ドラム式です。
前者は主に大型車に、後者は小型車やビジネスバイク等に使われています。
今回は最近主流になっている、”油圧ディスク式”について説明します。



ハンドルの右側・・スイッチ類の隣に付いているのが”マスターシリンダー”
と呼ばれる装置です。これがブレーキを握った時の力を油圧に換える大事な装置です。
中学・高校と勉強熱心だったあなたはきっと覚えてらっしゃると思うのですが、
油圧ブレーキは”パスカルの原理”を利用しています。
このマスターシリンダーの中にはブレーキフルードと呼ばれる液体が入っています。
このブレーキフルードはアルコール系の液体で、大変水分を吸収しやすく
ほおって置くと黒く変色してくるため定期的な交換が必要です。
また、パッドの磨耗と共に液量も減少してきますので、Lowerレベルに近くなったら
専門家に点検してもらう必要があります。

写真ではフロント側のマスターシリンダーしか紹介して有りませんが、
後輪もディスクブレーキの場合、後輪用のマスターシリンダー・リザーバー
が存在しますので必ず点検してください。
(後輪の場合は大抵リザーバーとマスターシリンダーが別体になっています)



上の写真はちょっと見ずらいのですが・・・
バイクを前から見て、フロントフォークとタイヤの間辺りから
パッドの残量を確認します。磨耗限界線までパッドが磨耗していたら交換時期です。
”あともうちょっと〜”などと言わず、早めに交換するようにしましょう。
鉄パッド(パッドの裏金が直にディスク盤を擦ってしまう事)になってからですと
ディスク盤交換になってしまい、無用な出費が発生します。また、パッドが消耗した状態
(=ブレーキキャリパーのピストンが大きく出た状態)ですと、ブレーキのタッチも
悪くなります。



同様にリアブレーキのパッドの磨耗状態も点検します。

・オイル量の点検

オートバイのエンジンには大きく分けて2種類有ります。
2サイクルエンジンと呼ばれるものは、エンジンを潤滑するオイルを
定期的に補充してあげなければいけせんし、4サイクルエンジンと呼ばれるものは
エンジン内を循環するオイルを定期的に交換してあげなければいけません。
オートバイにとってのオイルは、人間で言えば血液のようなものです。
今乗っているオートバイに合ったオイルを、早め早めに交換してあげましょう♪



車種によって点検方法はマチマチですが・・・
エンジンを止めて5分以上経過して、オートバイを水平にします。

上の写真はレベルゲージを用いてオイル量を点検しているところです。
オイルフィラー(オイル注入口)の蓋を外すと長い棒が付いています・・・
これがレベルゲージになっているのです。外す前に付近に着いている汚れを必ず
綺麗にしてから作業しましょう。ゴミが入ったら大変です!
蓋を外してら、レベルゲージを綺麗なウエス又はケバ立たないキッチンペーパー等で
オイルをふき取り、注入口にゆっくり差し込みます。この時にねじ込む必要はありません。
入口に当たったところで再度引き抜き、オイルの量を確認します。

同様に、ケースに窓が付いていてそこでオイル量を確認出来るオートバイもあります。

Lowerレベルに近かったり、汚れがひどい場合は交換が必要です。
(オートバイの場合は継ぎ足しはしない方が良いでしょう。)
オイル量が著しく減っていたり、白濁している場合は専門家の診断が必要です。


(参考)
以上は4サイクルの”ウエットサンプ式”と呼ばれる一般的な潤滑方式についての記述です。
ヤマハのSRやホンダのXR/XLR等の”ドライサンプ式”と呼ばれる潤滑方式では
点検方法が異なりますので、お手持ちのユーザーズガイド等で確認してください。

(参考2)
実際には2サイクル車でも定期的に交換が必要な”ギヤーオイル”と呼ばれるものが存在します。
今回は扱いませんので別の機会に説明します。
・エアクリーナーの点検
多くの場合、2サイクル車はエレメントにウレタンフォームを使った湿式を、4サイクル車には以下の写真のような
紙製のエレメントを使った乾式のエアフィルターが装着されています。
湿式の場合は灯油等で洗浄して再利用可能ですが、紙製の場合は汚れていたら交換です。


・バッテリーの点検

最近はメンテナンスフリーのバッテリーが多くなり、ほとんど点検が不要になりました。
メンテナンスフリーのバッテリーをお使いのバイクをお持ちの方は読み飛ばしても結構ですが、
開放型バッテリーをお使いの方はしっかり点検をして下さいね。



大抵の車種は、こんな風にサイドカバーを外せば点検窓が見えるようになっています。
車体を水平にして、バッテリー液の液面がLOWERからUPPERの間に有る事を確認しましょう。
液面がLOWERレベルに達していない場合は、市販のバッテリー補充液(蒸留水)をUPPERレベルまで
補水してください。
点検窓から見た電極板に白い堆積物が多く付着していたり、底に電極板などの脱落物が多い場合は
バッテリーの交換時期です。トラブルになる前に交換してしまいましょう。

バッテリーはオートバイを回路的に見た場合に、大きなコンデンサーの役目をしています。
寿命の来ているバッテリーを使い続けると、球切れ等のトラブルになってしまいます。

・ドライブチェーンの点検

エンジンの出力を後輪に伝えるという大切な仕事をしているのがドライブチェーンです。
雨の日も風の日も文句を言わずにくるくる回っているチェーンもたまには可愛がってあげましょうね。
最近市販されているオートバイに装着されているドライブチェーンは、ほとんどが”シールチェーン”と呼ばれる
中にグリスが封入されてOリングでシールされたものです。
このOリングは溶剤にとても弱い為、CRC556やWD40などのスプレー潤滑材を吹き付けるとOリングが
ヘロヘロになってしまい使い物にならなくなってしまいます。
そのためお手入れには市販のシールチェーン専用潤滑剤を使用してください。

伸びが少なくなったシールチェーンですが、やはりある程度の距離を走行すると調整が必要になってきます。
ドライブチェーンの中央付近で2cm以上のたるみがある場合には調整が必要です。
とても重要な作業ですので専門家にお任せするのが一番なのですが、以下の要領で自分で行う事も可能です。

  1. エンジンを停止する。(エンジンが掛かっている状態で行うのは大変危険です!)
  2. 後輪のアクスルシャフトを緩める(タイヤの中心のシャフトの事です)
  3. チェーンアジャスターのナットを緩め、アジャスターを調整して中心付近で適当なたるみになるまでにする。
  4. 必ず左右の合わせマークが同じ位置になっている事を確認して、ロックナットを確実に締め付ける。
  5. アクスルシャフトを確実に締め付ける
5の時にそのまま締め付けると、予定よりたるみが少なくなってしまいます。
以下の写真のようにTレンチや大き目のドライバーを噛ませてチェーンを張っておいて締め付けると
予定通りのたるみに出来上がります。



チェーン調整時に部分的に遊びが違っていたり(偏磨耗と言います)、アジャスターで調整しきれないほど
伸びていた場合は交換が必要になります。また、チェーンの点検時には必ずスプロケット(歯車の事です)
もチェックしてください。減ってしまって先が尖ってしまっているものは交換が必要です。
・その他の点検

その他、点検が必要な箇所を挙げておきます。
  • ラジエータークーラントの点検
水冷エンジンが搭載されたオートバイにお乗りの方は定期的に点検が必要です。
エンジンが冷えている時に車体を水平にし、リザーバータンクの中の液量がUPPERに満たない場合は
市販のラジエーター補充液を足してください。

  • タイヤのエアー圧の調整
これも結構気にしないで乗ってらっしゃる方が多いです。燃料を入れる際などにガソリンスタンドなどで
点検しましょう。車体に張られているステッカーなどに規定の空気圧が示されています、参考にしましょう。

・最後に

最後まで読んで頂いて有難うございます。
本当に駆け足でざぁぁっと説明してしまいましたので、至らぬ点も多々有るかと思います。
御不明な点は掲示板にてお気軽に御質問下さい。

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